どちらも高級料亭なので普段はもちろん利用しないのだが、父親の誕生祝いに美味しい和食を食べることになり、HPでお品書きを見てみると、意外にも五万石はランチが安いことが分かったので、五万石でお食事をすることにした。
五万石はいくつか店舗があるが、懐石料理メインのお店は、富山駅近くの「五万石本店」と「五万石千里山荘」の2店舗となる。今回は折角なので本店にトライ。お店に問い合わせたところ、ランチは11:00~14:00迄で、予約なしの飛び込みでもOK(大人数や個室利用にしたい場合は、事前に連絡が必要とのこと)だったので、開店直後に入店。
ランチは、お刺身・天ぷらの定食が1,500円程度で意外にリーズナブル。
定食に温物等が付いた御膳が3,000円と、夜の懐石に比べると安くいただける。
今回は誕生日祝いだったので、ちょっと高い「美味懐石」3,500円をチョイス。
この美味懐石は、小鉢・お造り・酢の物・蒸し物・焼物の五品に、ご飯・みそ汁・香の物・デザートが付いたミニ懐石。
実は懐石料理とは言え、富山の代表的な高級料亭で3,500円は安すぎる気がして、大したものが出てこないのではと心配していたのだが、実際には3,500円では勿体無い程の懐石だった。
一番感動したのがお造り。
お造りは、イカ、ヒラメ、マグロの赤身、甘海老、昆布締め、そして寒ブリの6種盛りで、どの刺身も生臭さが全くない。特に寒ブリは脂が乗っているのにくどくなく、サッパリとした切り身で、醤油に付けても醤油に脂が広がらない。北陸は冬になれば、地物の朝獲れ寒ブリをスーパーで買うことが出来て、スーパーで買った寒ブリでも十分に新鮮で美味しいのだが、五万石の寒ブリは全く違う別物。正直、北陸の旅館や割烹料理屋で高い金を出してお刺身を食べなくても、スーパーで同じものが安く食べられるやん!と思っていたのだが、やはり高級料亭で出されるお刺身は、提供する部位や切り方等がスーパーで調理するのとは違うのだろう。
これは本当に新鮮な驚き、感動だった。
魚メインでお食事をしたい人は、1,500円のお刺身定食でも十分に堪能できるはず。
(実際、お昼は懐石を食べる人は少ないとのことで、今日も他のお客さんは迷わずお刺身定食をオーダーしていた)
ただ、今は魚に脂が乗ったまさに旬の季節。特に寒ブリ等は12月が最盛期。これが春から秋の季節では味わえないだろう。やはり、北陸で美味しい刺身を食べるならば、11月中旬から12月が食べごろの時期となる。
いやいや、父ちゃん、誕生日12月で良かった。そうでなければ、旬な時期に懐石食べに来ていなかっただろう。
他のお料理では、餡ブリの焼物も美味しかった。程良い焼き加減で、焦げ目がないのにしっかりと中まで熱が通っていて、油の乗った寒ブリの美味しさを十分に引き出していた。
ホールの店員の段取りが悪く、料理がなかなか出て来なかったのが残念だったが、3,500円でこれだけの料理が食べられるところはないと思う。(金沢や京都なら4,000~5,000円位だろう)
高嶺の花と思っていた五万石だが、意外に値段・質ともにバランスのとれた庶民にも手が届く穴場のお店だった。彼女のご両親とお食事しなきゃいけない!!なんて時には持ってこいのお店ではないだろうか。

五万石本店 入口