金沢の食通が通う旨い和食と肉料理の町屋居酒屋　金沢市「尾張町　むさし」

今回紹介するのは金沢市尾張町にある、居酒屋「尾張町　むさし」さん。
金沢観光で有名な近江町市場がある「武蔵」交差点からひがし茶屋街方面に向かって歩いていくと、「尾張町」交差点が見えてくる。尾張町交差点を右折してすぐの所にお店はある。

お店は町屋をリノベーションした町屋風の居酒屋で、外観だと小さな高級割烹料理屋に見えるが店内に入ると広い造りになっていることに驚かされる。
1階はカウンターと数名用の掘りごたつのテーブル席、そして大人数が座れる座敷席がある。
カウンターは10名ほど入ると思うが、奥行きがあるカウンターとなっている。またカウンターと他のテーブル席や座敷席との境もなくオープンな雰囲気となっているため、高級店にありがちな個室の閉塞感はない。
一方で2階には少人数での宴会が出来る個室もあるようだ。
明るく飲み食いするなら活気のある1階で、少し落ち着いて飲むときには2階の個室を利用する等の使い分けが出来るのはありがたい。

料理は石川の海鮮や野菜を使った刺身や天ぷら、豆腐料理と言ったオーソドックスな和食から、ハンバーグや豚バラ炒めにロースカツ、餃子と言った肉料理も豊富。サラダメニューや野菜メインの創作料理もあり女子も喜びそうなお店だ。
また、地酒のメニューも豊富で、石川の地酒である天狗舞や大慶、黒帯、神泉等の他、福井県の黒龍や今では幻とっても過言ではない程手に入らない富山県の勝駒等、北陸の旨い酒が必ず置いてある。北陸の旨い酒を呑みたいならここに来れば間違いはない。

筆者がむさしさんを強く推す理由、そして金沢の食通が通う理由だが、無論上記のように和洋折衷の旨い料理と酒があることが理由だが、もう一つはお店の雰囲気と立地がある。
お店は金沢市尾張町にあるが、このエリアは金沢の人はあまり飲みに来ないエリアだと思う。繁華街の片町・香林坊エリアや金沢駅前と違い居酒屋が少なく、むさしの様なお店を満喫した後に軽く2軒目に行くような居酒屋やカラオケ等がほとんどない。
近くの「ひがし茶屋街」等はそれこそ高級割烹やバーが多いので敷居が高し、近江町市場付近も入りやすいバーや居酒屋はあるものの数が少ないためだ。
しかし、逆を言うと知っている人しか来ないエリア（尾張町の雰囲気も昭和以前の良き街並みを残す静かな風情があるエリア）のため、客層が洗練されており落ち着いた雰囲気となっている。
そして、武蔵さんの場合は町屋をリノベーションした建物で金沢の和食文化も味わえる上に、さらに日本料理屋としては異色な肉料理等のメニューも扱っているため、普段とは違う少しハイグレードな食事をしたい時や来客の接待等にちょうど良いお店だと思う。
価格帯も600円～1,300円程の範囲で設定されているし、高級日本料理店の様なコースではなくアラカルトで注文がメインなので、いつもの居酒屋よりもちょっと高いくらいで旨い酒と料理が楽しめる。

現在、台風19号の影響に伴う北陸新幹線の金沢東京間が不通になっていることにより、観光客のキャンセルが相次いでいるが、金沢は民間企業の支社や官公庁の支所が集まる地域のため、観光以外にも出張で北陸以外の地域から金沢へ来るケースも多い。
特にビジネスでの来訪者の場合、夜の接待（変な意味ではないよ！）が必要となることもある。
しかし、金沢は大学も多い文教地域のため居酒屋は予約が取れないこともしばしば。
かと言って接待費が中々出ないこのご時世に高い割烹料理屋や高級和食店を案内するのも大変。そんな時にぴったりなのがむさしさん。
県外の人なら金沢らしい料理と雰囲気が楽しめると思うので、会食場所として恥ずかしくない、むしろ「さすが地元の方ですね～」と言われそうなお店だ。

最後に他の居酒屋もそうだけど、むさしもやっぱりカウンター席で調理場の様子を見ながら酒を呑むのが一番だと思う。寺門ジモンもよく言っているが「食はライブ感」。広めのカウンターから調理している過程や業務冷蔵庫に入っている日本酒を眺めながら飲むことが出来る。それが他のお客さんの注文したものでも楽しく見れちゃうから（笑）
むさしに来たらカウンターで食のライブを見ながら旨い酒を堪能して欲しい。