日本酒を嗜むようになってから口にしている清酒の9割9分は「特定名称酒」、いわゆる本醸造、純米酒、吟醸酒と言われる高級酒だ。
それも各地方の酒蔵が酒造している日本酒がほとんどで、確かに美味しいが当然価格は高い。
一方で定番晩酌酒として全国展開している酒造メーカーもある。
例えば宝酒造であったり、今回紹介する月桂冠であったりだ。
これらの酒造メーカーは特定名称酒よりも普通酒(清酒)の方が有名だと思うが、もちろん酒蔵でもある。パック酒で売られている普通酒は良く目にするのだが、酒造メーカーの本醸造や純米酒はどんな味わいなのだろうかと興味はあった。
そこで今回は京都伏見の酒蔵を起源に持つ月桂冠の特別純米酒で晩酌することに。
マックスバリューで販売されていた月桂冠の「特別純米酒 山田錦」。
300mlのミニボトルで387円(税抜き)
酒米は大吟醸酒で使われる山田錦を全量使用し、水は「女酒」として有名な京都伏見の名水を使用。精米歩合は70%で本醸造レベルの磨き。
もう少し磨きが欲しいところではあるが、どのような味わいなのだろうか。
まずは冷酒で飲んでみる。
華やかではないが柔らかい酒米の旨味が広がり、後口に感じられるほのかなキレ。
山田錦の華やかさははないが、スッキリとした飲み口。
少しアルコール感(芋臭さみたいな感じ)が感じられるが、それが気にならない飲み手なら飲みやすいお酒だ。
甘みは控えめで程良いコクとキレが感じられるお酒なので食中酒には最適。
次にぬる燗で飲んでみる。燗にすると甘みやコクが消えてしまう。旨味やキレが消えて角の取れた柔らかいお酒になるのだが、香りやコクを求めるなら物足りないお酒に感じられた。
387円で飲める特別純米酒と考えるとコスパは良いお酒だと思う。
もう少し旨味が感じられる芳醇なお酒か、あるいはキレが強ければとも思うが、逆に「クセがないお酒」であることが飲み手を選ばずに全国で展開できるお酒になっているのだろう。通な日本酒好きには好まれないかもしれないが、「ちょっと美味しいお酒で十分」と言う人向けには最適なお酒だろう。
個人的には家飲みするならもう少し芳醇なお酒を選ぶが、安酒しか置かないチェーンの居酒屋にあったら喜んで選択する銘柄。
コロナ等の影響で収入が落ち急な出費がかさむこのご時世。お財布事情が厳しい自分にとっては、月桂冠の日本酒も選択肢に入れていこうかなと思う一本だった。
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