富山県は魚津市にある酒蔵「本江酒造」。
魚津市は蜃気楼が見える町で有名だが、大きな飲み屋街と魚津港でとれるホタルイカやカニ等の海の幸でも有名な町でもある。
そんな魚津市で大正14年に創業した本江酒造は「北洋」ブランドの日本酒を醸造してきた。
北洋の名はかつて魚津港が北洋漁業の船団基地であったことに由来しているとのこと。遠洋漁業の港であったことから大きな飲み屋街が形成され、多くの男達が帰港した魚津の町で北洋を飲んでいたのかもしれない。
富山県でもあまりメジャーなお酒ではないと思うが、個人的にはふくよかなお酒が多く昔ら好きな銘柄だった。ただここ数年は富山の酒を買う機会が減少したこともあり北洋を飲んでいなかったのだが、先日富山に行く用事があったので、久し振りに北洋を買うことにした。用事を済ませ帰り際にやまやに寄ると、丁度今年1月搾りの無濾過生原酒180mlが330円で売っていたので迷わず購入。
精米歩合は65%だが分類としては本醸造の様だ。冷酒にして飲んでみるとまず甘みが口の中に広がる。そして甘みの中に酸味を感じ始め芳醇な旨味となり、最後に感じられる後口のキレ。辛さは強くないが飲み始めに芳醇な香りが広がるため、良い意味でインパクトのあるキレとなっている。
ただ芳醇さやキレはいずれも強くはなく派手さがあるわけではない。それぞれのバランスが良いため、甘みと酸味、そしてキレが際立つのだと思う。
冷酒で飲んでも美味しいのだが、この芳醇さは常温の方がより風味が濃くなる。
あまり常温では飲まない方なのだが、この北洋に関しては二口目から常温に戻して飲んだが正解だった。今回は試していないが、ぬる燗にしても甘みとキレが増し旨いかもしれない。
各地域には隠れた銘酒が多々あると思うが、この北洋もまたその中の一本だと思う。
富山の酒だと満寿泉や勝駒が有名だが、富山や魚津へ足を運んだ際には、魚津港から望む日本海と北洋をじっくりと味わってもらえればと思う。