今、日本酒で勢いのある酒蔵と言えば、藤岡酒造さんの「蒼空」だろう。
この銘柄を初めて知ったのは、2年ほど前に買った日本酒の書籍「日本酒の基礎知識」で藤岡酒造を紹介した記事でだ。
元々は明治35年創業の老舗の酒蔵で、最盛期には代表銘柄である「万長」を8,000石(一升瓶で80万本)を生産していた大きな酒蔵だった。
ところが、現社長である藤岡正章氏の父親である3代目が急逝し、阪神大震災や日本酒の消費量減少などが重なり、蔵の大部分を手放して一旦蔵を閉めることになった。
そして試行錯誤の末に作り上げた日本酒が「蒼空」である。蔵一つでの酒造りであるから、当然、生産量も少ない。
2010年で90石(一升瓶で9,000本)と、なかなか流通していない。
現在では、東京で2,3件の酒屋さんに卸しているようだが、酒屋や居酒屋でお目にかかる機会は少ない。
記事を読んで、直感的に「美味しい酒に違いない」と感じたものの、上記の生産量の問題から、なかなか飲む機会がなかった。
ところが、去年、京都の宮川筋にある料理屋「蜃気楼」で、いただくことができた。
話によると蜃気楼の店主は、藤岡氏と親しい知人とのことで、そうした関係から「蒼空」を置いているようだ。
店内には、インテリアとしても蒼空のボトルが置いてある等、藤岡氏と親しい間柄であることが良くわかる。
そのして、この「蒼空」だが、本当に旨い。「久保田 万寿」と似ているが、更に米の旨さを深く広げた味わい。重くなく吟醸香が強く主張するわけではないのだが、柔らかい甘みとまろやかな米の旨みが広がる最高のお酒。
(風味や味わいの方向性が銘柄によって異なるので、あくまでも個人的な感想だが)
こんなに美味しい「蒼空」これは是非とも蔵元に行ってみたいと思い、今年、念願かなって伏見にある藤岡酒造に行ってきました。
実は、蔵元にはバーが併設されていて、ここで飲むことが出来るんです!
一杯90ml位で飲むことができるが、お薦めは呑み比べセット。その日のお薦めのお酒を3種飲むことができる。
また、お酒だけでなく、甘酒や酒粕のアイスクリームもありお酒の苦手な人も楽しめるお店だ。
店内は4人席くらいのカウンターがあるだけだが、お洒落で落ち着いた雰囲気で、カウンター正面のガラス越しに仕込む蔵のタンクも観ることが出来る。
また、店内で販売も行っているので、蒼空を未だ経験したことのない人は、是非、藤岡酒造そしてバー「えん」に足を運んでもらいたい。
酒蔵正面 酒林が吊されています。