令和の平和と安寧を祈念した最高峰の初搾り純米大吟醸　福光屋「玉葉　純米大吟醸」

令和の幕開け、そして今上天皇の即位を慶祝するため、改元月となった5月には各酒造メーカーから様々なお酒が祝賀用に醸造されたが、金沢の蔵元である福光屋でも蔵元最高峰の特別限定酒である「玉葉」を蔵出しした。
この玉葉は、酒米は山田錦100%（兵庫県多可町中区坂本産）を50％まで精米したものを用いて令和元年5月1日に上槽し、5月14日から出荷された生貯蔵の純米大吟醸酒だ。
貯蔵期間は短いが、出荷直前まで搾りたてを生で貯蔵し、清酒の瓶詰時に加熱を行っているのでフレッシュ感のある大吟醸に仕上がっている。
また、ラベルは即位礼にて陛下が着座される高御座（たかみくら）ならびに国宝・瑞花双鳳八稜鏡から着想を得て、八角形の紅白地のラベルに松喰鶴（まつばみづる）と霊亀をあしらい、常磐の多幸と繁栄を願う祝意奉表の意匠となっている。
清酒及びボトルともに福光屋の並々ならぬ想いが伝わってくるお酒だ。

金沢では一番古い寛永二年（1625年）創業の福光屋が改元・新天皇即位を祝すために蔵元の技を結集して造った初搾り酒だけに改元の時に飲みたかったのだが、新沢酒造の「愛宕の桜」を購入していたこともあり見送っていた。
しかし、10月22日の即位礼正殿の儀を迎えるに当たり、日本国民として改めて祝意を示すべく改めて購入した。
玉葉は720mlが2,300円、300mlが1,100円での販売となっている。4合瓶サイズなら化粧箱入りなので記念に欲しい気持ちもあったが今回はお財布事情も考えて300mlボトルを購入。
即位礼正殿の儀にはまだ早いが、白山比咩神社にて台風被害に遭われた方の冥福と早期の復興を祈願してきたのにあわせて開封をした。
透明なボトルに紅白であしらわれた松喰鶴と霊亀、そして金字にて添えられた玉葉の文字が神々しい威容となっている。ボトルを見ているだけでも十分な満足感が得られてしまう。
初搾り酒だが、実際には10月に入ってからの初開けとなったので風味が若干おちている可能性を踏まえてのテイスティング。口に含むと上品な甘みと吟醸香が広がる。その後酸味が感じられるが熟成酒の様な重い酸味ではなく心地よい酸味が広がる。華やかさやフルーティー感はないが、落ち着いた芳醇な甘みと生貯蔵のフレッシュな酸味のバランスが良いお酒だ。
時間が経っていてまだフレッシュ感があるので、5月の段階で呑んだらよりピリッとした酸味があったかもしれない。今更飲むことを少し後悔しているが、一方で奥ゆかしい酒米の甘みと落ち着いた酸味のバランスが良い爽酒となっており、個人的には好きなお酒だ。
冷酒でしか飲んでいないが、ぬる燗にして呑んでも香りと酸味が立って美味しいと思う。まだ一口飲んだだけなので、即位礼正殿の儀に合わせて温めて呑んでみたいと思う。

最後に銘柄の玉葉の意味だが蔵元HPによると、
「陛下への最高敬語である玉（ぎょく）、葉（よう）は古く宮中で用いられた酒の異名である笹葉（ささ）と代（よ）を掛詞として『玉葉』と名付けられており、令和の時代が玉のごとく光り輝き、青々と生い茂り続ける葉のごとく、精気に満ちたものになるようにとの願いが込められている」とのこと。
先日の台風19号にのみならず、近年台風や地震で被害に遭われている方が全国に多数いらっしゃるが、改めて国民一人ひとりが手を携え助け合い、玉葉に込められた思いがこの令和の時代に満たされることを切に願いたい。

※10月8日より即位礼の祝酒として、『玉葉南殿の桜』『玉葉南殿の橘』の2種類の純純米大吟醸酒が限定販売されました。今回紹介の玉葉とは異なる限定酒なので、詳細はリンクにて確認ください。

【5月発売玉葉】