石川県が11年かけて開発した新しい酒造好適米「石川県68号」の愛称が決定した。
その名も「百万石乃白(ひゃくまんごくのしろ)」
加賀百万石の文化と石川の豊かな恵みをが表現された名称だと思う。
大吟醸酒の酒米として有名な山田錦に対抗する品種として開発されており、スッキリとしたフルーティーな風味に仕上がるとともに、精米歩合50%でも酒米が割れにくい特徴を持っており、大吟醸酒の醸造に向いた酒米となっている。
4月から県内の酒造メーカーで「百万石乃白」を使用した新酒の販売が開始された。
そこで白山市鶴来町にある蔵元「小堀酒造店」で、百万石乃白で醸した萬歳楽を購入。
小堀酒造店では主力ブランドである萬歳楽をいくつかのシリーズに分けて展開しているが、今回の百万石乃白は新シリーズである「蔵人(くらうど)」として販売している。
現時点では純米大吟醸(磨き50%)のみの展開となっており、価格は税込みで以下の通り。
・一升瓶(1800ml) 3,940円
・4合瓶(720ml) 1,790円
・ミニボトル(300ml) 960円
純米大吟醸酒としてはそこまで高くない価格帯で展開されていると思う。
とは言え潤沢とは言えないお財布と相談して、960円のミニボトルを購入。
2月から恒例となっている週末の宅飲みで早速試飲する。
冷酒で嗜んでみたが、口当たりは優しい酸味と涼やかな風味が広がる。確かにすっきりとした飲み心地だ。一方で華やかな香りは感じられず控えめな吟醸香と優しい甘みが徐々に広がっていく。そして飲み終わりに感じられる程良いキレ。
キレは強くないが、全体的にスッキリとした風味なので喉越しで感じられるキレの余韻が気持ちよく残る。
華やかさはないが、優しく広がる甘みと徐々に感じられるコク、そして後味の落ち着いたキレが万人受けする大吟醸酒に仕上がっていると思う。
百万石乃白はまだ萬歳楽でしか飲んでいないので、他の銘柄も飲んでみないと一概には言えないが、風味が上品すぎる気がする。もう少しコクや香りが強く出ても良い。
一方で今回飲んだ「蔵人」はまさに萬歳楽の風味(透明感のある柔和な芳醇さ)でもあり、百万石乃白が萬歳楽の酒造りに適した酒米なのかもしれない。
精米歩合を落とした純米酒や本醸造なら芳醇さが出るかもしれないので、今後の展開が楽しみでもある。
いずれにしても、他の酒蔵の酒も飲んでみたいと思うが、生産者も蔵元も米作りや酒造りが完成したわけではなく、これから試行錯誤しながらそれぞれの日本酒に落とし込んでいく段階。石川県産酒米として、県内だけではなく全国で愛用される酒米になって欲しいと思う。
黒ラベルに青地の「蔵人」の文字。中々渋いラベルだ。
渋いラベルだが字体が認識しづらい。
少し感度を挙げて撮影。白飛びしてるな…
石川門に次ぐ石川県産酒米、石川酒68号(百万石乃白)を使用
萬歳楽の優雅なキャップ
ラベル自体は良いデザインだと思う。
わずかに黄身掛かった透明感のある大吟醸
あては金沢名物芝寿司(鯛)、ネギトロ、もみじこ焼き。
料理の風味を引き立てるお酒だ。
白山市鶴来にある小堀酒本店。萬歳楽全ブランドの販売はもとより、本店限定販売の樽出し生酒(純米から大吟醸まであり)や試飲も可能
歴史ある蔵元の風情が良く出ている玄関
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